迷夢
「万物は光と影で出来ている。形を表わすにはこの両方が必要だ。
それと同様に、マーヤ(現象界の構成原理)の善と悪も、たえず
優位を交替しあわなければならない。もしこの世に喜びばかり
続いたら、だれが別の世界を求めよう?
悩みがなかったら、人間は自分が捨てた永遠のすみかのことを
ほとんど思い出すことはないだろう。苦悩は、それを思い出させる
ための刺激の針なのだ。苦悩から抜け出す道は、英知によってのみ
開かれる。死の悲劇も、真実ではない。死の前におののく者は、
舞台の上で発射された空砲を本物と間違えて恐怖のために
死んでしまう無知な俳優と同じだ。わたしの子らは、みな光の子
なのだ。だから、やがてマーヤの迷夢から覚めるだろう」
「マーヤといわれる相対性、対比性、二元性、背反性、対称性等
の原理の奴隷になっているのは、自然ばかりではなく人間(肉体人間)
もまた同様なのである」
「神の計画と戯れの中におけるサタンやマーヤの唯一の役割は、
人間を霊的実在から引き離して、非実在の物質に結び付けようと
することである」
「マーヤは現象界の構成原理であるから、この世界が出来た最初から
あるのである。そして、マーヤによって展開される現象界は、神の
不変性とは対称的に、常に流動変化しているのである」
(あるヨギの自叙伝)より
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