17歳のための世界と日本の見方
17歳のための世界と日本の見方―セイゴオ先生の人間文化講義
松岡 正剛
以前、坂井さんのご厚意で、連塾に参加させていただいたことがある。
その時は、なにやら難しいことをいっているなー。やたら物知りなだけの
いわゆる知識人なのかなーと失礼なことを思っていた。千夜千冊といった
膨大な書評も、ちょっと読むだけで先に続かない。長すぎるし、
わかりづらいと避けていた。名刺交換した時は、穏やかな教授といった
感じで、ゼミなら楽しそうだなという印象だった。
本屋で見かけて、実際の講義を基にした本ということで手に取ってみたら
面白そうなので初めてきちんと読んでみた。
面白い。急に興味が出てきて、次の本も買ってしまった。
それについてはまた。
17歳のためとあるが、大人も読んだほうがいい。
私もこの本を読んで、部分的だった知識がつながって合点がいった。
自分の好きな個所を一部紹介すると、こんなかんじ。
「・・イエスがイエス=キリストとして活動していた期間は大変
短くて、(略)せいぜいその五年くらいの活動です。(略)世界
史上で活躍して大きな業績をのこした人物も、活躍の中心期が五年
とか十年くらいにピークがあったということは、いくらでもある。
けれども言い換えれば、本当に何かをやりたければ、この五年という
期間は非常に大きいものなんです。ファミコンが広がったのも、
ケータイ電話が広まったのも、五年もかからなかったでしょう。
逆にいえば、五年もあれば、何だってできる。(略)
さらにいえば、イエスの五年間をある程度詳しく知っていたのは、
ペテロ以下の十数人の弟子だけでした。前回話したブッダの最初の
弟子が十人。釈迦十大弟子といいますが、でも結局はこの十人が
仏教の誕生に、あるいは十二人がキリスト教の誕生に大きくかかわ
ったわけです。ですから、何かをおこしたければ、最初の十人を
まず作るべきなんです。そしてそのコア・メンバーとともに五年を
集中するべきです。それ以上はいらない。幕末の吉田松陰の松下村
塾だって、せいぜい二年です」
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