オウムの時代背景
過去の歴史を調べると、いつも歴史的大事件の背景には時代魂の存在が影響している。先日、六本木にてある有名なジャーナリストの方と「時代と魂」の話になった。その話を書こう。
1980年代後半、日本中がバブル経済に狂っていた。誰もが浮かれて、享楽と自信に満ちていた。多くの人間が、
「今、株を買わない者は馬鹿だ!借金しても土地を買え!こつこつ働く者は取り残される!」と。右肩上りの景気に正気を失っていた。日本中が今では考えられない程クレージーなそういう時代(サラリーマン、主婦、農家すら走った)だった。
そんな最中、真剣に
「これはおかしい!このままでは大変な事になる!日本が、未来が危ない!」
と感じる人々が必然的に現れ始めた。
世間の風潮に流されずに、
「みんな餓鬼のように金の亡者になっている。亡国となる!このままではいけない。とんでもない国になる。今、日本を変えなければ!」と感じた人たちの中で、かなりの優秀な人間たちがオウム真理教へと流れて行った。
東大を中心にトップクラスの大学の学生(事件当時はキャリア官僚まで)を始め、インテリも多かった。最初はヨガの先生の麻原であったが、ダライ・ラマなどを巧みに使ったことと、バブルという時代背景からインテリ中心の原理宗教運動が始まり、オウムは日本中が注目する勢いのある宗教団体となっていったのだ。ある意味、麻原は時代魂を持っていたのだ。
当時のオウムは、社会がバブルで金に熱狂している中で、真逆である精神的充実の世界を真剣に創ろうとしていた。それは傍から(大衆側)みたら麻原の風貌や布教活動から異様な集団であったが、マスコミ、財界、知識人も始めは、多少なりとも(バブルのお祭りに走れない人は)興味を持っていた。
勿論怪しいという見方も多々あった。それは、決定的に麻原が美的センスに欠けていたことが影響しているのではないか。麻原は目が不自由だった。今いるお洒落なオタクではなく、ダサい不潔な初期のイメージにあるオタクのようなものだ。
当時、知識層からは、今日の危険な「地下鉄サリン事件のオウム」でのイメージはもちろん無く、『インテリで精神修業などを真剣にしている特別な集団』という見方がされていた。
オウムに魅かれ、入ってくる人たちは、若いインテリ系、また女性達もたくさん入信し、可愛い子たちも大勢いた。信者が増えてきたころ、90年代に入りバブルが末期的な段階を迎え、彼らは政治の世界から世の中を変えようとした。
そして選挙。もちろん信者の票もすべて計算し、これだけの議席は必ず取れる!という予測を行い、それを上回る候補者を立てた。その選挙活動も、歌やキグルミ、アニメなど使ったオタク文化の総動員だった。よってマスコミも興味本位でこぞって取材し、ニュースなどからその選挙運動は社会現象にもなった。
その反省、もしくは政治的圧力からか、昨年の衆議院選挙で、幸福実現党は意図的にマスコミから取り上げられなかったほどだ。
そうした状況から麻原は自信満々に立候補したのだ。
しかし、結果、一人も当選しなかった。前回の衆議院選挙の「幸福の科学」と同じだ。代表一人も当選出来ない事実。彼らにしてみたら、岩より堅い「信者の票」が消えたのである。
まったく想定外の結果。あり得ない結果。
彼らは選挙から堂々とソフト革命を起こそうとした。しかし、なにものか(国家システム)によって、阻止されたと考えた。国家権力によりこの日本を変えることを拒まれたのだ、と。
選挙後、彼らは沖縄へ行った。沖縄にきて、最高幹部会を行い、特別幹部合宿を行った。
そこから彼らは劇的に変わった。日本という国は、もう手遅れになりつつある。生易しいソフト革命では変えられない局面まできていると確信した。自分達はまだ魂が未熟であると。
沖縄で何らかの、信号(啓示?)を麻原は受け取ったのであろう。しかし、向かったのはあの悲惨な全面戦争!攻撃は化学兵器「サリン」でターゲットは国家の中心、国会~霞ヶ関である。更に言うと、首都圏全体に散布しようとしていた可能性もあるのだ。
「サリン」は国家にとって、この世には存在しない事にしたはずの物質(第二次大戦での秘密化学兵器)であった。「存在しない」のだから、法律等(医学的にも)の対応も出来ていなかった。地下鉄サリン事件が起こった(直前の情報でも)時、国家はそれを真剣に恐れたのだ。
その物質が最初に開発されたのは、ナチス・ドイツ軍であった。ナチスでも結局使用しなかった毒ガスを世界で初めて使ったのだ。(余談だが、ナチスの英雄ヒトラーの妻の名は「エヴァ」である。)他にも、人類が作った化学物質の中で最も毒性の強い物質といわれるVXガスなども世界初で使用した。
ただでさえ作るのが難しい毒ガスを、オウムの信者達は創りあげ、実際に使用してしまったのだ。
まるで破壊神であるシヴァ神のようだ。怒りと破壊のエネルギーを国家に向けて、霊(パワー)が降りてきた証明でもあった。
麻原彰晃は沖縄で幹部に宣言したのだ。
「もうこの日本を変えるには、破壊しなければいけない!シヴァ神が降りてきたんだ」と…
この啓示、沖縄で受け取った啓示はなんだったのか?何故沖縄だったのか?何故今でも沖縄は基地問題等でニュースの中心なのか?
そして、あの歴史的悲惨なテロ、霞ヶ関地下鉄サリン事件が起こってしまったのであった。
今、日本はバブルから20年が過ぎ、いまだに政治経済も後遺症に悩んでいる。しかし、彼らの方向性(一番大事だが)が間違っていなければ、その情熱を社会のために貢献でき、ある意味、今の日本はもっと精神的に豊かな国になっていたのかもしれない。
少なくとも、あれだけのことを実行出来る(911テロも同じ)ほどの熱意と能力が別方面に活かされていたら社会にとっても・・・。
客観的に歴史をみると、新世紀の前には破壊が必要だ(スクラップ&ビルト)。まるで、その役割を担っていたかのようなテロ行為。
戦争行為は人間最大級の悲劇で、原爆のように人の心に長く残る。いつの時代も破壊のエネルギーは地獄の世界そのものである。私達は過去のあらゆる犠牲者の念の為にも、時代を考え真剣に生きていかねばならない。
オウムから始まった日本の崩壊が、いよいよ現象化しだしてきた。日本航空はその象徴だ。また詳しくこれについては書こう。
さて‥新年は坂本龍馬のドラマが話題。彼の時代は幕末から明治維新。シンクロするように、まさに現代も幕末のような雰囲気だ。時代が劇的変革を求めている。時代魂に注目しよう!
あやまちを繰り返さない為に今こそ冷静に、過去の事件と歴史から罪と罰を切りはなし、時代背景をしっかりと受け止めなければならないと思い、オウム真理教の事件を挙げた。いつも歴史から学ぼう!この出来事から学ぶことはたくさんある。
未来の人類、地球のために。
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