神話の始り

 壬辰(じんしん)の年が始まった。じんしんという響きを聞くと、壬申の乱を思い出す。干支は違うけど、音は一緒。兄弟争いで、弟が勝った乱。兄弟喧嘩の題材は、神話に数多く登場する。親子・夫婦喧嘩と並んで、昔から人々の切実な問題だった。争いをどうおさめ、解決するか、これからは新たな神話を生み出す時期だ。兄弟争いも神話とは違う結果が求められる。

我々は、因縁の問題に数多く関わり、経験を積んできている。それが口コミで広がり、相談が増えている。因縁を通して、人は進化する。進化するための道筋も、神話の英雄物語が参考になる。このあたりは、ジョゼフ=キャンベルの「千の顔を持つ英雄」が詳しい。簡単にいえば、
1.セパレーション(旅立ち)
2.イニシエーション(通過儀礼)
3.リターン(帰還)
である。
ひな形を学び、現実に活かす。神話に限らず、歴史や由来を知ることで、過去の財産を有効活用できる。人類が残してきた無形資産を受け継ぎ、将来の糧となる無形資産を築いて残していくことが、今の時代に生きる人間の大切な仕事だ。エヴァの主題歌で、
「少年よ、神話となれ」と歌われていることの真意だ。
自分の中にある、意識と無意識の対立と融和。(自分を知る)
自分と他者との間(関係性)に生じる危機と機会。(自分と世界を繋ぐもの)
自分と社会との間にある溝の克服、境界線の設定。(世界を知る)
いま目の前にあるテーマを、過去の神話をヒントにしつつも、新たな神話を紡ぎだす。漫画や小説では、真の神話は生まれない。キッカケとはなるが、人が真に体験した感動にかなうものはない。事実は小説よりも奇なり。こうした物語こそが、心に残るし、深層意識に刻まれる。深層意識から、テーマを拾うことは漫画などでもできるが、深層意識に刻むことは体験しかない。
昨年11月の誕生日後から、妙見菩薩の信号を得ていた。妙見信仰はとても幅広く、簡単には書けないが、北極星信仰と通じている。妙とは、きわめて優れている意味がある。妙見とは、きわめてよく見える、先が見通せる、善悪の区別をつける、などの意味となる。
妙見菩薩は、別名、妙見尊星王(みょうけんそんしようおう)、北辰(ほくしん)妙見菩薩とも呼ばれる。龍馬が学んだ剣術の流派が、北辰一刀流で、教えていた千葉一族は代々妙見信仰を守ってきた一族である。千葉一族が龍馬をバックアップしていた。また龍馬の先見性と妙見は繋がるところがある。
千葉一族は、平氏の一族だったが、源頼朝を応援した。なぜか?単純に源平の戦いとは言えないのだ。今年は、平清盛が大河ドラマの題材に選ばれている。武家として初めて太政大臣になった清盛だが、それよりも前に、新皇を名乗った平将門に自分は注目している。将門は妙見菩薩により守られたと厚く妙見菩薩を信仰していた。
将門はたった数年だけの活躍にすぎない。しかし、今も密かに影響を及ぼしている。誰しも、皇居前にある将門の首塚の話は知っているに違いない。たった数年だけ表舞台にたった人間が、なぜいまも神田明神に祀られているのか?
そして、源頼朝がつくった鶴岡八幡宮と、彼を尊敬していた徳川家康が作った、日光東照宮の関係。妙見信仰が結んでいく霊的結界と世界観。日本の神話は古事記、日本書紀だけではない。時代を創ってきた人々の背景にある、信念や信仰こそが、日本の歴史を創ってきたのだ。彼らの意識を理解したとき、日本人である自分をより意識して、日本人ならではの創意工夫が生まれるのだ。妙見信者である葛飾北斎の絵が、欧米の絵画に影響を与えたように、日本的方法が新たな世界を作り出し、世界に伝えられることがあるのだ。
こうしたことを知らなくても、無意識に従って生きていれば、時代の流れを掴むことはできる。むしろ、知らないほうが概念に囚われずに、自由に創造できるとも言える。知ってもいいし、知らなくてもいい。いずれにせよ、求めるものには信号があるし、ご縁がある。
自分はただこうしたことが好きで調べているだけだ。そこに良い悪いはない。見えない信念と信仰こそが、世界を産み出す母なる大地と感じている。だからこそ、過去の菩薩たちが母体とした信仰や世界観を知りたいと思う。意識しなければわからないが、堂々とそうした秘密は開示されている。
何も知らないで出かけた先で、シンクロと信号があり、隠された一面を知ることが多い。そうした出来事がその人の物語となるのだ。自分しか知らない物語だとしても、それは世界を陰から見守っている無意識と繋がっている。
一人ひとりが、どう生きるか?世界を良くしたければ、それしかない。一人ひとりが神話になれ!どの物語が生き残るか?それも楽しい付録だ。生き残ることを意識したら、それは残らないだろう。人生を貪欲に、真剣に生きる人間の物語は当人も周囲も楽しいものだ。
世界は今年、更なる波乱で盛り上げてくれるだろう。舞台は整っている。激動の時代だからこそ、恐れず飛び込むしかない。守ればやられる時代だ。波乱万丈だからこそ、人生は楽しいのだ。
自身の原点への想いを忘れず、感謝と共に歩く人間には、必ず世界は応えてくれる。自分と世界を信じて、神話を創造しよう!

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